規制緩和で、”薬局が病院敷地内で開設可能” ー 知っておくべき2つのNGパターン

昨年度の10月1日から、薬局と医療機関の独立性に関する規制緩和されました。厚生労働省は従前、医療機関から処方箋を持って出て来た患者が薬局に行く際は、一旦医療機関の敷地から公道を経て行くよう求めていました。また薬局と医療機関の建物が隣接する場合は、塀やフェンスなどで明確に分離するよう指導してきました。

緩和のきっかけとなったのは、「体が不自由な方、高齢者、子供連れの患者さんにとって、いったん公道に出てから薬局に行くことの不便さを見直してほしい」との2014年にあった行政相談です。その翌年、政府の規制改革会議がこの見直し答申し、厚生労働省との協議を重ね規制緩和となりました。

規制緩和が認められていない2つのNGパターンを理解する

実際にみなさんが病院の敷地内で薬局を建設する場合には、最初に規制緩和が認められていない具体例を理解されると計画を進めやすいと思います。

厚生労働省の通知「保険医療機関及び保険医療養担当規制の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」の一部改正について(2016年10月1日より適用)の各文か読み解くと、規制緩和が認められていないNGパターンは以下の2通りです。

1. A図ー病院と薬局が一体化している

1つ目は、上図のAにあるように病院と薬局が一体化しているパターンです。厚労省の通知文では、『保険薬局は保険医療機関と一体的な構造とし、又は保険医療機関と一体的な経営を行なってはならないこと』となっています。

“一体的な構造”とは具体的に、建物がベッタリくっついてたり、一見別の建物に見えるけれど渡り廊下などでつながっており、人や物の往来が可能な状態を指すようです。

建設の専門的な話になりますが、建築の耐震構造面などにより病院と薬局を、構造的な梁などでつなぐ場合とは意図が異なりますので注意が必要です。

2. B図ー道路から薬局の入口がわかりずらい

2つ目は、上図のB にあるような病院が面している道路から見た時、薬局の入口がわかりずらいパターンです。逆に言えば、医療機関から薬局への誘導が顕著な場合と言えるでしょう。

B図で改善するならば、薬局の入口を右側に変更して道路からの視認性を確保すると良いでしょう。また敷地内に薬局への明確な歩行・車輌通路を設けることによっても、改善が可能となります。

せっかくの規制緩和ですので、計画の初期段階から管轄される厚生局や保健所と事前協議を行い、申請手続の順序や期間も含め相談されると良いでしょう。

3. まとめ

“病院と薬局が一体化している”のと”道路から薬局の入口がわかりずらい”のNGパターンなので注意してください。

ABOUTこの記事をかいた人

認定登録医業経営コンサルタント、一級建築士。SAWA医療設計(株)代表取締役社長。株式会社石本建築事務所に14年間勤務後、2005年に札幌にて独立開業。25年以上にわたり病院設計に従事。病院専門の設計事務所として、改修および企画設計の技術・ノウハウを蓄積。複数の医療機関の改修工事に携わりリノベーションの実績をあげている。【SAWA医療設計ホームページ:http://www.sawa30.com】